フォロワーたちが同人誌を作ってくれるそうです。ヤッター!
同人誌を作るとなるとどうしても中・長期的な制作をほぼ一人ですることになり、なかなか大変です。自身の調子に強く左右されるため、「せっかく原稿をするために時間を作ったのに全く進まない」になりがち。
同人女の感情 第7話
— 真田つづる (@sanada_jp) 2020年9月12日
「初めての原稿地獄」2/4 pic.twitter.com/SeJfcCPS3d
その上やることが多い。
今回の記事では同人誌を発行するまでやることを概ねまとめておくことで、「作品制作が進まない時でも同人誌発行に必要な作業はする」「自分の中で低コストな作業・重コストな作業を分けておき、できるときにできるエリアのものを一気にやる」という自分が同人誌を作る際にやっていることを皆さんに提案できないか、ということをやります。
通販での頒布(自家通販)のやり方については別の記事でまとめています(最近は私はイベント開催時はBOOTHの倉庫から発送を利用し、その後自家通販等に切り替える方針を取ってます。ですので参考程度に)
また記事では便宜上本文が漫画であることを前提に書きますが、イラスト本・小説本にも多少応用は効くかと思います。
以下に私が同人誌を作る上で行っている工程をまとめておくので、これらを順不同かつできるときにできることをやりましょう。
本文制作以外の作業
イベントに申し込む・申込期限、イベント開催日を確認する
一番最初に書きましたが、イベントに申し込むことは必ずしもスタートラインではありません。先着で満了するタイプのイベントも抽選するタイプのイベントもあるので一概には言えませんが、私は割合後回しにする方です(イベント参加が目的になってしまってグズグズになるタイプなので、作りたい作品の締め切りを決定してもらうぐらいの気持ちになってから申し込む)。まず申し込む申し込まないを抜きにしてイベントの開催日を確認し、逆算して「印刷所に納品してもらわないといけない日」を決定します。必要であればサークル名を決めたり、交通手段や通販手段を確認したりしましょう。
オフラインイベントの場合はイベント申込時にサークルカットが必要になります。
冊子仕様・印刷所の選定、見積もり
どんな本にするのか、それをどこで刷るのか(はたまた自作するのか)、それらが何ページで何冊刷ったら1冊あたりいくらになるのか。これらが早い段階で決まっておくと今後が楽です。「イベントに間に合うまでに刷ってもらうならいつまでに入稿しないといけないのか」、「同人誌を刷るのにいくらかかるのか」、「何ページを目標に作るといいのか」などがぼんやり見えてくるためです。また、「こういった特殊装丁をするには早割を使わないとすごい値段になるので、絶対にこの日に入稿しよう」などの目標もでてきます。個人的には完成品のビジョンがどんどん明確になるので同人誌を作っていて一番楽しい工程。が、「同人誌は一冊いくらあたりならいいのか」「何冊刷ればいいのか」「そもそも立体物としてどういう本を作りたいのか」という初めての人にとって難しい部分にも直面します。
「そもそもどういう本が作りたいのか」は実際に発行されてる同人誌や一般書籍を参考にしてもらうのがやはりいいかなと思います(そう言う意味でもオフラインの同人即売会っていろんな人の作品が見れてすごく刺激をもらえます)。また、同人誌がやっているイベント合わせのキャンペーンなどを見て、使えるオプションから本の完成品を想像するのも良きかと思います。
しばらくはページ数も決定しないと思うので「仮」の内容で見積もりを取り、それらのすべてをスプレッドシートにメモしておくことをおすすめします(多くの印刷所は見積もりを長期で保存しておけないため)。メモする内容は以下です。
- 見積もりを取った印刷所のURL
- サイズ
- セット名
- 選んだオプション、紙や印刷方法の指定等
- 納期
- ページ数
- 発注部数
- 値段
- 一冊あたりの単価
ページ数は8の倍数+4ページで検討するのがさまざまな印刷所で汎用性が効いていいと思います(20〜28ページまで値段が同じという印刷所もあるので)。プラスされる4ページは表紙・裏表紙を4ページと数え、それらを含んだ全てのページ数で注文することが多いです(本の中身が16ページなら、20ページとして注文する)同じ印刷所でページ数を変えて3種類ぐらい見積もりを取ると強固でしょう。
平綴じ本だと本文は偶数であればいいですが、中綴じ本だと4倍数である必要があります。また中綴じ本は分厚い本に向かない一方本の中心部分が隠れにくいメリットがあり、小説本で使うことはあまりなく、イラスト本で使うことが多いかなと思います。
印刷物は基本的に一度に印刷する数が多ければ多いほど単価が安くなります。「自分の同人誌なんて10冊も売れないし、それくらいでいいや…」と思う方もたくさんいるかと思いますが、とりあえず出てきた値段を割る10してみてから考えてください。発行部数は本当にめちゃくちゃ難しいし、値段の付け方も自由なので、ここで簡単にアドバイスできる内容ではないと思っていますが、「印刷部数に悩んだらなんか現実的っぽい値段になるまで刷る」も部数の決め方としてアリだと思っています。
グッズも同様の検討をしてもらうのが良いかと思います。
諸費用の確認
同人誌を刷る以外にかかるお金を確認したり、それをメモするスプレッドシートを作成します。オフラインの場合は机に敷く布、コインケース、作品を展示するための台、ポスタースタンド、ポスター、などが挙げられますがこれはまあどう言う設営をしたいかによりますね。
オンラインの場合は梱包材の手配が主になります。自家発送する場合はそれ用の封筒など。書店委託の場合は本を送るだけでいいことが多いですが、BOOTHの倉庫発送だと自身でクリアパック等で個別梱包することが推奨されています。
またサークルさんによっては名刺や簡単な納品書を添えている方もいらっしゃるので、真似したい方はそれらの段取りもします。
どちらにせよイベント参加費もきちんと費用としてメモしておきます。
設営の確認
オフラインの場合上記と被りますが、オンラインの場合はBOOTHのページを整備したり、pictSQUAREの店舗イメージを変更するなどの作業が発生するので、どこかでやります。
本文制作
事務的作業
さて実際に同人誌を作っていきますが、それでもいわゆる「創作らしい創作」ではない作業が少々発生します。創作する気力がないときに行います。
テンプレートを調達する
小説本、漫画本、イラスト本、グッズ、どれにしても印刷所で提供されているテンプレートをダウンロードする作業が発生するかと思います。
また本文のフォーマットが強固ではない小説本やイラスト本などは自分で作品を掲載する形態を決定する必要があります。これらの設定を行なっておきます。
私はネームから大体総ページが何ページになるのかなどを決めてクリスタでそのページ数を追加する作業などをここにあてています。
本を本たらしめるためのページを作る
発行する上で必ず用意しなければならないのは奥付です。
同人誌の奥付には何を書く?なぜ必要?【書き方の見本あり】 | 小冊子の印刷・製本ならブックホン
また欲しいと思えば中表紙や目次、後書きなども用意します。
再録の選定
再録本、または再録ページを作りたいと思った場合、それをどの作品にするか、また他のページにあったカラー形式で掲載できるかの確認や変換を行います。
「この絵を再録しよう」でフォルダーわけするだけでも締め切り前の自分が助かったりします。
制作作業
モノクロ作業
モノクロ本文の場合の本文作業のことをモノクロ作業と呼んでいます。
漫画を描いたり作品を作ったりするにあたって、どこがしんどくてどこがスムーズに行くかは人によって異なると思います。そのためこの部分は自分にとってはどうなのかを検討して、端的に言えば「下書きができる日は下書きばっか描く」「絵が下手な日はトーンを貼る・事務的な作業や他の作業をする」「そのために今トーンを貼ることもできるけどペン入れをしておく」などができるようにすると圧倒的に作業できる日を増やせ、作業に余裕ができます。
自分の場合は作品が完成に近づけば近づくほどコストが安くなっていって、下書きが一番苦痛、次にペン入れ、トーンとベタはゲームしながらでもできるので一番いいです。そのため今日は絵が上手い…!下書きが描けるぞ!!というときに下書きをいっぱい描きます。
またこうやっていろんなページをバラバラに仕上げるので、ネームはしっかり切るようにしています。
カラー作業
表紙を作ったりするのをカラー作業と呼んでいます。一番テンションが高いときにやります。いつやるか難しいと感じてるのでこの話はこれで終わりです。
素材集め
クリスタで漫画を描いている人間の意見ですが、同人誌に使えそうな素材を探す(というかこのコマのこれは素材や資料を使いたいなというものを探す)というのも「作業」として絵が描けない日に行います。難しい構図の場合は3D人形を置きますが、これも調子の良し悪しがあるのでいいときに一気にやります。
写植
ふきだしにセリフを入れる作業もまた必要ですが、かなり事務寄りなので、これも調子が悪いときにします。
クリスタEXを使っている人はストーリーエディタを使うのがおすすめです
おわりに
これらの作業をちまちまちょっとずつ、10分でいいのでやるようにしています。コツコツやるぞというよりは、「同人誌を作るっていったのに作業しないでゲームしてる……」という罪悪感を1でもいいので軽減するためです。あとは歳なのでもう締め切り前の馬鹿力とかが全然出ない。ただ作品の作り方って人によって全然違うのでへえこいつはこうやってるんだなという程度で。