おまえきけ

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部数アンケートの意外な落とし穴

こんばんは。

今日はバズに部数アンケートを狂わされて13万の赤字を出してしまったという記事が世に出たのにかこつけて、「同人誌の部数アンケートとか、してもいいけどあてにしないほうがいいよ」という話を書きにきました。

でもこの話も話半分がいいのかもしれません。

ちなみにタイトルはAIが考えてくれました。すごい!!!!!!!

なぜ部数アンケートを取るか

簡単な話で、部数を決めるのは難しいからです。

さらに言えば、特に紙に刷る印刷物は一度にたくさん刷れば単価が下がるという性質を持っているのが大きい。平たく言えば、その同人誌を欲しい人が50人いるなら一度に50冊刷ってしまって50人に頒布しきって終わるのが一番嬉しいのです(中には完売は申し訳ないからと需要より多く刷りたがる人もいますがそれは置いておきます)。

ですがその需要を読むというのが本当に難しい。そうであれば事前に欲しい人の人数を知っておいてそれに近い数字を刷りたいというのが人情だと思います。

加えて二次創作同人はほとんどの人が印刷費と売り上げが同等になるような価格設定を心がけていると思いますが、これが部数読みの難しさを加速させています。100部あるうちの50部で印刷代をペイできる価格にしてしまえば、残りの50部がどうだろうと(経済的には)痛くないですが、その50部分は丸々儲けであるとも言えます。
実際のところ、送料だとかスペース代だとか振り込み手数料だとか、色々引かれはするので、サークル側が印刷費から強気に盛ってもトントンに落ち着いたりしますけど、まあその話は一旦置いておきましょう。特に今回のような高額になるとわかっている同人誌では少しでも単価を抑えたいと考えたくなるでしょうから、なかなか難しい話です。

ですが単価はあくまで単価であって、自分が出すトータルの費用額ではない、というのが重要です。

そもそも

これを読んでいる方々の中には、「趣味に対して費用をペイしてもらうという考えが間違っている」という人もいるかもしれません。
ただ、同人活動をやっている身からすると、継続して楽しむためにはやはりある程度のバックがないと難しいなということは思います。壁を張っているような人じゃなくても、一度の即売会に5万から8万ぐらい飛ぶこともあります。同人誌を作るにも100時間以上はかかります。
100時間あればAAA級タイトルのゲームが一本しっかり遊べるし、8万あれば台湾に旅行が行けます。それって同人活動やってなかたらゲームで遊べたし台湾に旅行に行けたといっても差し支えないわけなので…まあ…。上手く言えないんですけど、最初に用意した数万円でコツコツ遊び続けられるくらいの「趣味としての良さ」みたいなのがあってもいいんじゃないかな、っておもっちゃいます。
(それくらい大変だから…同人誌を作るのって…)

部数アンケートが信用ならない理由

  • 「欲しい」は「買います」ではない
  • 「買います」は「今買えます」ではない
  • 「買います」は「絶対に買います」ではない

まず「欲しい〜!」という気持ちは「買います!」という気持ちとはイコールではない。
Twitterでバズっている素敵な靴、服、なんらかの立体物。「かわいいな〜、ほしいな〜」と思ってふぁぼりつする、ツイート主が注文先のURLを見て値段を見てびっくりして、買うのをやめる。
こういったことはまあ、よくあることだと思う。
そういう意味で欲しいという気持ちには「買えないけど」という気持ちが含まれていることも多分にある。
値段的なこともあるが、即売会会場は場所的なこともある。
(もちろんそういう人が部数アンケートに「買う」と答えることに対してはどうなんだ、という話はあると思うのだけど、この話は後でする)

次に、その「買います」という気持ちも「今この瞬間に(または即売会があるその日に)買えます」という意味ではない場合もある。
「欲しいけど、給料日前だからお財布がなあ」といのは、何も同人誌だけが例外を受けるわけじゃない。自分の本だけなら500円、1000円だけじゃないか、と思っても、「即売会に行く」となると金欠はハードルになることだって当然ある。
また「行くつもりだったが行けない」も当然ある。病気で行けない場合、忘れている場合、会場や日時を勘違いしている場合……。同人にどっぷり浸っている人ほどびっくりするかもしれないが、本当にめちゃくちゃある。

その「買います」という向こうの意思表示は「絶対に買います」という「契約」ではない。部数アンケートに投票してくれた人全員の胸ぐらを掴んで「お前ら買うっていったじゃないか!」なんて言って回れない。

それにまあ、恐らくだが、部数アンケートを入れてくれる人も真っ赤な嘘をついているというわけではない。作家と気持ちの温度差があるだけだろう。私たちは好き?結婚してくれる?と訊いているけど、相手は結婚のことなんて全然考えてないみたいな話なのだろうと思う。かなしいね。

さて、長々と書いてしまったが、私が部数アンケートを取らないのがその「信頼のならなさ」なのかといえば、少し違う。
上記のように部数アンケートは他人に失望する可能性を含んでしまっている。
なので、そうやって人に失望するかもしれない、人を信じられなくなるかもしれない事件のトリガーを自分から引きに行かない というのがいちばんの理由です。

しかも別にアンケートに答えてくれた人は(匿名掲示板にURLが貼られて「こいつの部数アンケートむちゃくちゃにしてやろうぜwww」と晒されてない限りは)基本的に善意で投票してくれているのだと思う。その人たちに私は「うそつき!!!買うって言ったのに!!!」といって回らないといけない可能性を秘めている。

い、嫌〜〜〜〜ッ

ただでさえ普通に生きてても人を疑って仕方がないのに、部数アンケートに嘘をつかれちゃったらもう、どうなるんでしょう。怖すぎます。

そもそも部数アンケートも「即売会に出ます」も「通販始めます」もタイミングが悪いとSNS上でまったく情報をキャッチできないですからね。

サンプル見て欲しい、部数アンケートも答えた、でも頒布開始の案内は見てなかった…ってのはもう、めちゃあるだと思います。

そういった「うかつな」人たちにケジメをつけさせることができるならいくらか溜飲は下がるでしょうが実際は不可能。自分の中でストレスとして残ってしまう。そう思うと嫌ですよね。

とはいえ部数アンケートをやったこともある

一度目はグッズの部数アンケートで、結構面白いことを思いつけたので欲しいと言ってくれる人が結構いたりするかな🎶と思いアンケートを取りました。
結果的にアンケート通りに刷ると予算を超過するほどの反響をもらいました。利用しようとしていた印刷所はあまり部数が多いと納期が遅くなってしまうのもあり、その時は「予算いっぱいに刷る」で対応しました。
で、実際のところはそれが飛ぶように捌けてやっぱり足りなかった…ということは別になく、いい感じに捌けました。

二つ目は本の部数アンケートで、小説本を初めてつくったので果たして同ジャンルの漫画と同じぐらいのノリで刷っていいのか?と思ってアンケートを実施。
そちらはアンケートでもらった部数を全て刷っても予算に余裕があったので、それに少しだけ足して刷りました(その部数刷るのが都合が良かったので)。結果的にその本は完売して、部数アンケートでもらった数よりたくさんの数がお嫁に行きました。

この二点、結果的にどちらも「部数アンケートは参考にならない」という話にしてもいい気もしますが、結局自分が同人に支払ってもいい費用の範囲内に留めるなら、部数アンケートを参考にしてもいいのかなという話な気もします。

部数アンケートが成功した件も知ってる

それはアンソロジーです。自分の話ではないですが、「部数アンケートをとった結果、アンケートを信じて刷るととてつもない印刷費になってしまった。それを参考にして刷るけどアンケートが嘘ついてたら立ち直れない」といっていたフォロワーが、結果的にはアンケートを信じてよかった結果に落ち着いてました。

部数アンケートを取らなくなった理由

部数アンケートでとりわけデカい失敗をしたわけではないのに部数アンケートをしない方がいいと言っているのには、理由となったエピソードがあります。

もうだいぶ昔ですが、同人誌を出そうかな〜と悩んでいる時がありました。その時はまだイベントをやりますよという話があるだけで、実際の本が出るのは何ヶ月も先です。

その時当時のフォロワーさんが「あなたの同人誌が出るならぜひ欲しいです、絶対に買いたいです」といってくれました。嬉しいですよね。同人作家は本なんて出しても一冊も売れないかもと思っているので、こういったことを言ってくれる人がいるだけで本当に励みになります。
その一言がすべてなわけでは決してないですが、後押しされて同人誌を作ることになりました。

ですがその方は私が同人誌を作ってる間に別ジャンルにハマり、別のアカウントを作り、私のアカウントからの発信が届かないところに行ってしまいました。
私の同人誌ができるころにはすっかりタイムラインにいない人になっていたのです。
(まあそれでも、同人誌を買うだけってのはあり得ますよね?そう思って気を保つようにしてました。まあそれもなさそうだな〜ってのがあとでわかったんですが)

最初に私の本が欲しいと言ってくれた彼女の気持ち、これは本当でしょう。

そして途中で他の魅力的なジャンルを見つけてしまった。この気持ちも別に止めようがありません。

ですが結果的に残ってしまったのは、「絶対に買いますと言ってくれた人に同人誌を買ってもらえなかったアタシ」なんですよね……。相手が悪いわけではない(と私は思う)のでひどいと泣いたり、相手を責め立てることもできません。それこそ動いているアカウントに押しかけて「なあ、お前が欲しいって言ってた同人誌、できたけど」なんて言うこと、できるはずもない。

当時は結構傷ついてしまって、以後そこそこのトラウマになってしまいました。

一個人として認識している、リプライでやり取りをしたフォロワーでさえ、こういうことがありえます。それはまあ、100歩譲って「こいつが悪い」ということにしてもいいのかもしれません。ですがそれが「フォロワー」という群像に対して発生してしまったら?フォロワーのことなんて信じられない!と疑い、ナイフを振り回してしまうと思います。その時傷つくのは、部数アンケートに投票し、頒布情報を確認して、購入してくれる、そんな善良エリート市民フォロワーなんですよね…。

そういうのがあるので、人を疑うきっかけになってしまうようなことは極力しないようにしている¥、という話でした。