おまえきけ

140文字で足りないときに連投してリムられないための場所

毒島メイソン理鶯は軍に戻りたいのか?

どうしてオタクは考察をしてしまうのだろう。呼吸だからだろうか。呼吸だと思います。したがって、果たして理鶯は軍役に戻りたくて活動をしているのだろうか?ということについて考えたい。なぜかというと、マッドトリガークルーには末長く続いて欲しいので……。ここで考慮の材料にするのは基本的には楽曲とドラマパート、コミカライズとします。

最後の方に赤い字があるのでそれを読めばいいです。

理鶯の目的

おそらく理鶯は一度も自分から自己の目的について語ったことはない。左馬刻もクソッタれな世界を変えようという漠然とした目的しか話してないが、理鶯はそれさえない。ワンピースみたいに樽を囲んで足をのっけて目的を語ってくれるとわかりやすいんだが(というかそういうことをしてそうだったけど幻覚なんだよな)。
理鶯がサバイバル生活をあの森で行っているには何かしらの理由があることが匂わされているが「軍の復活を信じて」という動機についてはあくまで銃兎から語られる情報だ。信じて、といわれると「復活して欲しい」という内容にどうしても思うが、そうなのだろうか?
頸木たち過去の男について「志は同じだと思う」「(自分たちの代わりに投獄されてしまった)小佐殿を助けたいとは自分も思っている」というのはコミカライズで語っているところだが、彼のいう「志」がなんなのかは不明だ。

理鶯が「志を同じくしている」と考えている頸木たちは、簡単に言えば小佐を暴力(というか法律に則らない手段)によって奪取し国家元首を狙う、いわばテロを目論んでいる。理鶯は勝算がないとして断っているが、では果たして理鶯が望むこともテロリズムなのか?個人的にはこれはかなり考えにくい。

まず理鶯がそうしたいのであれば(もっと極端なことを言えば軍属に戻りたいのであれば)頸木と同じくさっさと志を同じくする連中と群れるのが先決と言える。少なくとも森でコーヒーを作っている場合ではない。そもそも(何度か指摘しているけれども)サバイバル生活と軍人(とりわけ海軍)としての生活に直接的結びつきはない。無論自衛隊でもその手の訓練はするし、補給がなくなった前線は似たようなことをすることになるだろうが、あくまでも環境や状況の変化に対応することを要求されるという側面が強かろう。であれば理鶯は様々な状況を鑑みて各地を転々とするほうがよっぽどいい。コミカライズによれば(おそらく)陸海空の垣根を超えた(すごくね?)特殊部隊に属しており、海外遠征の様なものを行っていたようで、後年はあまり海兵らしいことをしていたわけじゃないみたいなのでアレだが、基本的に海上作戦というのは準備ゲーなので理鶯のやっているサバイバル生活とは少々遠い。ともかく彼が国家転覆を狙うなら、どこからか潜水艦でもパクってきてそこで潜伏生活をする方がよっぽどよい。

しかし彼はヨコハマディヴィジョンの森で自給自足生活をし、マッドトリガークルーに所属することを選んだ。中央区が提供するバトルフィールドに立ちこの世界を変えようと手を差し伸べた左馬刻の手を取った。というふうに表面上は見える。

暴力団組員である左馬刻も組長の命令には従うし、そもそも自分のやっていることが権力の監視下である自覚がある。銃兎も警察組織に属していて、非合法な私刑と法的措置を使い分けるむちゃくちゃなことをしているが、それでも無花果おねーさんが前にでてこられるとどうしようもない。あくまでもテリトリーバトルというルールの中で彼らは戦っており、試合そのものを破壊する気はない(それこそ頸木が見下しているラップバトルに理鶯は本気で取り組んでいる)。マットドリガークルーはアウトローだがテロリストではない。

そもそも頸木たちとて少佐を取り戻したとしてどうしたかったのか?言の葉党と戦い、勝利し、仮に政権から引きずり下ろせたとして、望むのは軍隊の復活なのか?男性の権利の復活なのか?あまり見えてこない(頸木には悪いが、個人的にはその辺あまりなくて雪辱を果たしたいという印象が強い)。

という外堀を埋めたところで理鶯で出ている情報を2つ整理したい。

理鶯はヒプノシスマイク・プロトタイプを持っている

さらっと語られているが、理鶯が軍で開発されたプロトタイプ型ヒプノシスマイクを持っている。ということはH歴以前に重火器と並び、兵器としてのヒプノシスマイクの試験運用が(少なくとも)検討されていたということだろう。理鶯はスキルを見初められたのかその使用者に抜擢されている、と考えられる。普通に考えて軍の支給品(しかも試作機)をお土産に円満に退役できるわけがない。

理鶯にとってヒプノシスマイクは紛れもない武器・兵器である。この認識は揺るがないんじゃいだろうかと考える。武器を扱う仕事をし、時には他人を脅かす存在になる者として、一般人が(違法なり合法なり)容易に兵器を携帯する社会は理鶯にとってどう映るのだろうか。自分のヒプノシスマイクをただ金のために、違法マイクをもってベースキャンプを訪れるヒャッハーたちを理鶯はどういう気持ちで対応しているのだろう。

理鶯はヒプノシスマイクの流れを追っている

ドラマトラックではヒプノシスキャンセラーなるものに興味を示し、中央区にハッキングを仕掛け、ヒプノシスマイクの出どころやその流れ(物流)を追っている様子が見られる。コミカライズ版では少佐を救いたい気持ちはあるらしく刑務所をかるく偵察したり、特典CDでは警察無線傍受などもしている。すごいね。とてもじゃないがサバイバル生活を送っている理鶯が調達できる機材とは思えないので、おそらく理鶯があの森を離れられないのは、旧海軍が残した軍事的物資が多く隠されているからではないかと思う。

さてここで重要なのは理鶯が興味を持っているのはヒプノシスマイクそのものであるということだ。中央区中央区外に薬物やらヒプノシスマイクやらを流し、あとは人を使った撹乱やらで治安を悪化させ、テリトリーバトルという大袈裟に言えば内乱を自分たちの掌の上で生もうとしている。仮にあの12人が非常に強い力をもち、中央区と対等に勝負できるほどになったとしても、奥からヒプノシスキャンセラーが出てきたら終わりである。これが……いわば単純な命のやりとりとは違う。言葉が力を持った、としても、その土俵を向こう側に崩されたら終わりで、理鶯が危うさを感じているじゃないだろうか(簡単に言えば現代に不満を感じている)と考える中央区が自分の掌の上で男を弄んでいる間はいいかもしれないが、ヒプノシスマイクをコントロールしうる第三勢力が現れてしまったら、警察組織もヒプノシスマイクを使っている日本の自治は完全に終了してしまうことだろう。

言って仕舞えばヒプノシスマイクによる自治や威力の行使は不完全であり、仮に完成してしまうとテリトリーバトルも民主主義もない完全な独裁社会になってしまう。ヒプノシスマイクによる社会は完成してはならないし、完成し難い。

であれば旧時代的な武力の行使を要するときがいずれ現れる理鶯はそう信じているこれが理鶯に対して言われる「軍の復活を信じている」ではないだろうか

軍が復活した時、理鶯は軍人に戻るのか?

結論から言えば戻ると思う。

理鶯についての情報が少ないのでマッドトリガークルーの二人の話に戻る。銃兎も左馬刻も非常に面白い性格をしていて、特に銃兎は薬物に溺れてしまう一般市民の弱い心を嘆くのではなく、一貫して売人に嫌悪感をむけている。薬物捜査に関わっていた先輩が薬物に溺れてしまったなら失望してもいいようなものだが、そんな感情は噯気もださず、ひたすらに売人と薬物そのものを憎んでいる。すごいメンタリティ。
左馬刻も(いいヤクザのテンプレみたいな感じだけど)一般市民からかなり気に入られているし彼は半端なワナビーが目障りで嫌いなだけで、無力な市民を嫌悪しているわけではない。コミカライズでは不当に働かされている風俗嬢を助けたりしている。二人とも大衆が弱者であることを否定せず、自らが矢面に立ち戦うことを選んでいる。これはおそらく理鶯もそう。理鶯はもう武器を扱えるし、肉体も出来上がっていて、戦闘の訓練を受けている。できないことをやらないでおけるほど器用な人間とは思えない。

軍が復活するということは武力が求められる時代がまたくるということであり、そうであればおそらく理鶯は、いわばその使命を果たさないわけには行かなくなるだろうと思う。

じゃあ軍が復活する将来はあるのかという話なんだけど、どうだろうね。いや〜現代日本には軍はないんでわかりませんな。私は末長くマッドトリガークルーが続くといいなと思っています