おまえきけ

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映画「来る」をみたらトラウマ刺激されたので叫ぶ羽目になったという話

Amazonプライムで配信されたのでTwitterでしばしば話題になるホラー(の皮をかぶったヒューマンドラマ)映画「来る」をみたんですけど、真面目な感想ではなく、想定してなかった人生のド地雷を踏まれてしまい、めちゃくちゃ笑ったので、そのことについて書きます。

来る

来る

  • メディア: Prime Video
 

映画としてはまあ楽しめる部分もあって、ホラー苦手な自分でも見れたなあという気分なのですが、ただただ所帯持ちの自分がこの映画の半分をキツいといって根を上げていると言う感じです。

あらすじ程度のネタバレはします。

さてこの映画、尺の半分ぐらいは霊現象の被害に遭う家族の状況説明に使われており、妻夫木演じる田原が妻となる香奈を実家に紹介するシーンから始まります。この辺のクソ田舎のクソ空気の描写がキツイですよ~~とは事前に聞かされてたんですけど、なんとなく北の方とか東の方とかを想像しておった私はまさか関西だとは思わず、下品な関西弁でようわからん土着の話が展開され子供も大人もぎゃーぎゃ騒ぐ「あの」知っている空気を吸わされまず卒倒しましたね。あ!!!!知ってるクソ田舎のほうね!!!!っていう。「まあこういう感じのもあるよね」とかではなく実体験がダイレクトに湧き上がるような解像度の高い「嫌」にまず驚く。

法事という親戚が一同に介する場面にまだ彼女の香奈を連れて行く(そう言う話だったよな?多分)のだけどフォローが何もなく、いつものように、いってしまえば「孫」のポジションとして法事に参加してしまった田原。もちろん彼女は意味不明な日本語で意味不明なことを喋ってる田原の親類になじめるはずもないのです!!!が、そんな香奈の姿を見て田原の母は「(あんたが連れてきた子)なんや暗い子やなw」というのです。

は~~~!!!!あ~~~~~!!!!!!!

すごい、こんな、こんなトラウマの抉られ方、あります?あのね、もうね、うちの母が本当にこう言う人なんですよね。私が結婚するしないのときに義母となる夫の母にこう言われたのがトラウマ、ではなく、「自分の母も他人の恋人にさも悪口ではなく素直な感想ですよ別に私はあの人のこと嫌いとかじゃないんよまあでもただ暗いよねwというニュアンスのことをいう……」という「」さ。私が男で、彼女を連れて親戚に紹介して同じことをしたら、絶対言われるんですよ。間違いなく。暗いよね、じゃないかもしれないけど。地味だよね、とか、派手だよね、とか、あるいは例えられたくない誰かに似てるよねとか(初恋の人とか、姉だと妹だとか)。

このあとの披露宴のシーンでもわかりますが別に田原の母は姑として息子の未来の妻に好意的でないわけではないんですよ。ただ彼女の無邪気な感想として「暗い子」っていうのがでてきている。いやもうもっといえばそう言う「無邪気な感想」がでてくることそのもの、そのデリカシーのなさがこの空気全てを形成しているんです。

無理!!!すごい。見てる時はまあ後半の布石だしねと思ったんですけど、そう強く響かなかったので、ただただ嫌なシーンとして立ち上ってくるんですよ。

まあでも法事のシーンは結婚式のシーンに比べたらマシ。法事にはもう何年も出てないが、結婚式はしたからな。

田原夫妻があげた結婚式っていうのは、簡単に言えば「一番やってはいけない結婚式」なんです。だから「結婚式」への恨み辛みが全部のっかった最悪の結婚式になってる。内輪のしょうもないムービーはもちろん、しょうもない下世話な出し物。二人の顔がプリントされた、扱いに困る引き出物。二次会では新郎がカラオケしているのを新郎のゲストが項垂れて聞いている(聞いてない)、それを「俺の歌誰も聞いてない!誰が主役だとおもってるんだ!」と茶化しながらも怒鳴る新郎。

結婚式と言うのは一応「儀式」なので「建前」が大事なんですよね(これもしかしたら後半の「どんな怨霊でも神として扱い丁重にもてなしてから祓う」という儀式との対比なのかもしれないけど)。現代人からしたらしゃらくせーのかもしれないけど、「呼んでくれてありがとう」「きてくれてありがとう」を本気でやらないといけない。結婚式というのは宗教的な意味合い(神の前で愛を誓ったり、神に夫婦となることを報告し、出席者はその証人となる)を除けばこの双方向の好意がないと成立しないんです。

田原にはホストとしてのゲストへの奉仕精神が全くなかった。客としてもてなすのではなく、主役としてふんぞり返ってしまった。だからこそ高い祝儀を払ってそれにはちっとも割りに合わない食事を食べてつまらないパーティに参加させられいらない引き出物を渡されたことに、出席者は辟易しているんです(もっとも何割かの人間はウェディングハイだとして許してくれているのかもしれないです)。この悪癖は分譲マンションを買ってホームパーティをしてるときにもでてますね(そしてこのパーティの時は規模が小さいのとお腹がすでにかなり大きい妻がかなり頑張ったおかげでなんとかなっている!!!!!)。

本当に絶対にやってはいけない。なのでおそらく幾らかの割合の人間は、かなりこうなることを恐れて結婚式を挙げた、、、はずです!!!少なくとも自分はそうだし、自分が出席した同級生の結婚式もかなり意識されていたと思う(いい式だったし……)が!!!!んなこたあ!!!!ホストの我々にはわからんのである!!!!!!もしかしたらこういう気分になってるゲストがいたかもしれないし!!!そもそも!!!呼ばれて面倒だと思われていたのかもしれない!!!!!

難しいんですよね!!!!!そりゃ外野からしたらそんなにダルいならやるなって思うかもしれないけどなんかそういう「難しさ」ではないんですよね!!!!私はこういうガッチリした結婚式からは予算と挙げたい結婚式の都合上逃げましたが!!!!自分はこうじゃなかったと思いたいが、そうじゃなかったかどうかを決めるのは私ではないんです!!!!!!キツイ!!!!!!ゲストへのリスペクトがとか????ホストへのお祝いの気持ちとか????そういうのが人によっては全部紛い物かもしれないわけで?????気を使っていても1ミリも伝わってないかもしれないわけで!??!?!人によってはすべての結婚式が「こう」見えてるかもしれないわけで??!?!!?もっというとそれを映画のカタルシスのために出され???!!!!!!!!!!

ウワ!!!!!!!!!!!

いやね、田原が悪いよ。自分の実家にノープランで彼女を連れてってほったらかし、結婚式で主役だとふんぞりかえり、ホームパーティで腹の大きい嫁をキッチンに立たせ続け(そもそも腹の大きい嫁がいる状況でホームパーティをしようという精神がわからんが)、出産直後の嫁に「笑って」といって顔写真を撮ることを強要し、自分は子供の面倒を見ずにブログに上辺のことばかり書き続けてる、田原が悪いんですよ。私がどんな結婚式を挙げたかはさておき、ここまでのクズではないですよ。

でもわかんないですよね。ちょっと気の利かないけど間違ったことは言わない男だなって多分田原のこと思うと思いますよ。最悪なことを言うけど、子供を産むまで「決定的にダメになってる」ことに本当に気づかないと思いますよ。お腹が大きい頃は「色々気が利かないって思ってたけど、こんなに育児に興味を持って能動的に参加してくれてるし良い人と結婚したなあ」って私も田原にきっと思いますよ。ああなるんだけどさ。

でね、ということはですよ。私かてお腹を大きくしたら、やるかもしれないんですよ。今どんなに夫のことを信用してても、本当の意味でどうなるかなんて誰にもわかんないんですよ。今どんなに「ばかばかしい」と思ってても、やるかもしれないんですよね?すげー名前つけたり?赤子の写真をめちゃくちゃインターネットにあげたり?子供の顔はだして自分の顔はスタンプで隠したり?するかもしれないんですよ??あるいはしてなくてもそれに類する行為だと他人に思われるかもしれないんですよね????ほんとこれ、ずっと怖くて、極力考えないように生きてたのに、急に思い出さされました。こんなの田原の胴体がちぎれるぐらいでは全然どうにもなりません。なので叫ぶしかない。

ウワ~~~~~ッッ!!!!!!!!!

以上です。