おまえきけ

140文字で足りないときに連投してリムられないための場所

同人誌を作ろう 作品作り編

同人誌を作っている時の作品作りの流れをまとめたものを私も書きたくなったので、書きます。誰かの参考になるといいですね。

性的な図画は掲載しませんが、描いている作品の傾向上わいせつな言葉がよくでてきますので、注意してください。

よし!本にしよう!と思う

私は同人誌を作るのが趣味で、「あ、これは同人誌にしたいな!よし、しよう」となぜか強く思ってしまいます。そう思ったが最後なので作りますが、なぜそんなことになるのか。不思議ですね。

みなさんもなんらかの理由で「同人誌」が作りたくなったとします。そう言う時、ほとんどの人は何を本にしたらいいかわからないのではないでしょうか。お金もかかるし、時間もかかるし、買ってもらえるか不安。そういう世界に足を踏み入れるとわかっているので、どうしてもここで足踏みすると思います。描きたいものも、なんだか漠然としていることが多いかもしれません。

なので工程とは少し違うし後のことと前後する内容でもありますが、先に「どう言う作品を同人誌にしようと思っているのか」という傾向について書こうと思います。

タイトルありきのもの

自分の漫画の同人誌は80%ぐらいこれです。こういうタイトルで中身こういう話だったらめっちゃおもろいな〜!って私が勝手に思い、その思い込みが解消できない時、本にします。

過去作だと「一時には寝る」とか「返事はいらない」、「愛しの君とこの世のはたて」などがそうです。

「一時には寝る」の1ページ目です。寝てませんね。

「hotfix」も元々は曲名タイトルだったのですが描いてる途中でタイトルの要素が入れられなくなってきたのでなしになりました。

なかなかネットに上げる漫画でタイトルを意識することはないんじゃないかと思います。同人誌だとまず表紙やサンプルというワンクッションがあって、その先に作品があるので、タイトルを絡めた作品作りをやりやすい気がしています。(なのでタイトルありきじゃない作品に後からタイトルをつけるのはすごく苦痛になってしまいがち……。うまく落とし込めた時はホッとします)

「同人誌」という枠組みの中で完結してくれたり、補完してもらったほうがいい題材

同人誌にするという行為で、本という媒体の中で完結してくれるのではないかと私は思っています。特に同人は商業のものと違ってある程度読み手は丁寧に読んでくれる可能性が高いと思っています。「この本では、そういうことになっています」が結構ちゃんと通用するのが、本の強いところじゃないかと。描ききれないところは欄外に無限に注釈書けますしね。手前にいっぱい注意書きを書くこともできます。いやまあインターネットでもそうなんですけどね。でも通常本って最初から読むので、その流れの特定のタイミングで確実にその文章を読ませられる強みがあるなと思っています。本を書く時どうしても多くの人に受け入れられる、まともっぽい話を……と思ってしまいがちですが、意外と好き勝手していいのは同人誌の方なのかもと思ったりします。

まあ、「見てろよ、これが自カプの『正解』だからな……」みたいなスタンスはインターネットでバレるとヤバいので同人誌でやる(結果作品はなんかマトモっぽく見える)のパターンもあります。というか、よくやります(この話は危険なのでここで終わりにしましょう)

同じテーマでまとめたもの

最初に作った漫画の本が「音ゲーが好きなキャラが仲間達にそれぞれ合うと思う音ゲーを布教していく(過程で音ゲーの楽しみ方を色々紹介する)」という本でした。メンバーの数だけ短編が入っているオムニバスです。最後に簡単な総集をして終わります。

オムニバスが好きと言うのもありますが、そのキャラクターたちは箱推しだったし、ネットに上げてバラバラになるよりはまとめて出したいという気持ちがありました。ミラプトではまだやってないですが。ミラプトはどっちがやってもいいカプだと思ってるので、例えばプロポーズをミラージュからするパターンと、クリプトがするパターンの2本を描いて一冊に、とかもやってみたいですね。

自己設定が強かったり、元の設定を改変するような内容

手前にも書きましたが、やろうと思えば延々と注意書きを書いて回れるし、印刷は液晶よりも小さな字を許容するので、自己設定が強い系をやるのは結構適してるなと思います。サンプルでもざんざん脅せますし。頒布するのは勇気がいりますけどね。

過去作だと「hotfix」は強化電気回路とデータ漏洩のスキンを描いたものですが、クリプトに「強化電気回路」をつけたのはワトだろうなあ、という漠然とした思いがあって抜けなくなってしまいました。あと自カプはスキンごとに人物そのものが違うという設定が好きな人が多いのですが、そういう経路である以上同一人物であってほしい。その注意書きが描ける同人誌だから描けたなと思います。自カプの初R-18がオリジナルスキン以外になっちゃったのは緊張しましたが。

「これだけだと勘違いが起きそうだな…」みたいなやつ

ようやく仕上げた作品が、どちらか一方方向に寄ること、ありますよね。私はちょっと不調気味のミラージュが好きですけど「そういう日もある」というだけで「そういうやつだ」と思っているわけじゃない、けどショボショボのミばっかり描いてたら「なんだこいつ、エアプか?」ってなりかねない。そういうとき、「そうじゃありませんよ〜;;」って言い訳するように別の要素を強くした作品を同じ本に詰められるのもまた同人誌のいいところだと思います。「Make Me Your Own」とかはそうで、ミラージュがカッコ悪い話と、かっこいい話を一緒に入れてます。どっちも自分の中ではミラージュが持っている側面の一つです。

テーマとタスクを書き出す

かっこいいことを言っているっぽいですが、こういう本にしようと決めて、それを未来の自分が忘れないようにメモすることから始めます。

ストーリーの展開や根幹に関わってくれそうな「描きたい」と、そういうわけではないが描きたいものを、分けている……というわけではないですが、その両方を挙げていきます。上記のとおりにタイトルが先だと「一時に寝るというタイトルで一時に寝ないミラプトのクリプトを描く」というお題みたいなものがあって、そこから描きたいものを紐付けていきお話の展開などを決めます。(返事はいらない。のように結末だけ決まっていて手前に伸びるように「描きたい」をつなげていくパターンもあります)

テーマ

お話の根幹に関わってくれそうな「描きたい」を「テーマ」と呼ぶことにします。こういう自カプが見たい!という明るい理由もあるし、「いや、自カプたちはみんなが知らないだけで本当は"こう"なんじゃない?!」みたいな結構「ヤバ」い動機の時もあります。

こう言うのをイベントなどの同人誌を発行するきかっけがないタイミングに思い付いたとしても、メモしておけば「ネタ帳」になっていいです。どうして描きたいかも一緒にメモれるといいですね。忘れるので。今はスキーデートに行くミラプトが見たいのと、あと初夜が描きたいです。(スキーデートは、スキーウェアを着てるミプと運動神経がよくてモテるミにムッとするプトがみたいから)(初夜は、フォロワーさんが長くて真面目な話を描いてるのに感化されて、長くて真面目な話を書くなら初夜がいいと思ったから)

「Make Me Your Own」という作品では試合の戦績が悪くてしょげるミラージュがクリプトに慰めてもらう話を描きました。これは「陽キャのミラージュさんも落ち込む日くらいあるはず!」「月キャラのクリプトがミラージュに救われる話は公式くんも書いてたけど逆もあるはず!だって支え合うカプだから!ミプは!」「でもミラージュさんは弱いやつじゃないので調子取り戻してほしい(面倒なオタク)」という気持ちがあって落ち込んで→励ましてもらって→調子にを戻していつものミラージュに🎶という話にしよう、と決まりました。

試合がうまくいかず落ち込み

励ましてもらい

いつものミラージュに

 

その上で曲名をタイトルに持ってきて、細かいところにその要素を足していきました。

タスク

タスクはお話の根幹に関わってはくれなさそうな「描きたい」です。「衣装をしっかり描きたい」「クリプトをかっこよく描きたい」みたいなものから「攻めフェラを描く」「萎えているペニスを絶対に入れる」「事後もしっかり描く」みたいなものまで含みます。さっき出てきたスキーデートにいくミラプトだとスキーウェアを着ているミラプトを絶対に描きたいことや、彼らが宿泊する施設の解像度もそこそこ高いのでその設備なども描きたい、と思っています。

「返事はいらない。」では「いつもより手をしっかり描く」というタスクがありました

ただどんなに強く思っていても、忘れます。これらは思いつく限り書き出して全てメモします。そしてコマが埋まらない時や展開に困った時に見ます。そして今回はクリプトはすごい元気に喘いだけど、本当は慎ましやかに声を我慢してほしいんだワ…みたいなのがどうしても発生するので、これもどこかにわけて保存しておきます。それを未来の私が見て、その後悔を取り戻すために次の本を描いてくれます。怖いですね。

テーマとタスクを元に肉付けをする(プロットを書く)

プロットとはお話の流れを忘れないように書いた要約のようなものです。大まかな話の流れと一緒に抑えたいテーマや達成したいノルマを書き込んでいきます。

元々はテキストで起こしていましたが、今はプロットの段階ですでにビジュアルがしっかりきまってるようなコマなどは一緒にメモを残したいし、さりとて長文を手書きで書くのはいやだ〜と思って、タイピングと手書きのハイブリットができるイラストのソフトに書いています。

これは次の作品の冒頭のプロット。描くのが少し先なので忘れないよういつもより細かくメモしてあります。

実際の下書きでいつ描けるかわからないけど今結構しっかり「これを描きたい」っていうのがあればそれを絵で残すようにしてます。

あと自分はそこそこ慣れてきたのでこれを描くのにこれくらいの時間(ページ数)割きたいなというのが感覚でなんとなくあるので、ページ配分もプロットに書いていることが多いです

こんな感じでどれぐらいの量それについて描くのか最初に大まかに決めてることが多いです

ネームを切る

プロットを元にネーム、漫画のもとになる設計図を作ります。

モザイクのところは一応R-18のシーンなので…

紙にボールペンなどで描くことが多いです(ボールペンなのは、鉛筆が擦れて見えにくくなるので…)。紙だとこのあと作業する時に横目に見やすい。

この時はセリフをしっかり書いているところが多いですが、セリフは基本思いついたところだけ。プロットと実際の漫画を紐づけてもらったり、頭の中にぼんやりある漫画のアイディアをとりあえず書き出す目的で書きます。簡単な絵を描き出してこれはこうしている、こう言う意味の言葉を言う、みたいな註釈をかいていくことが多いです。書きたいものの解像度を少しずつでもいいので上げていくのが大事なので、「思いつかないのでそこで作業が止まってしまう」を極力なくすようにしています。ここでようやくベットイン!でもえっちの内容はまだ決めれてない……というときは「エッチする」とだけかいて後回しにします。

ネームを切る時に参考になりそうな大まかな漫画のルールをまとめてくれているサイトがありました。こういうのは絶対に守らないといけないわけではないですが、漫画のテンポ感を掴むのに便利です。

細かい調整は下書きの時にやるのでイマジナリーラインとかそういうのは全部忘れて描きます。

manga.jp.net

クリスタにデータを作ったり、同人手帳にスケジュールを組んでもらったりする

ここまでくると同人誌を作るという運命から逃れられなくなります。腹を括り、漫画を仕上げていくためのデータを作ったり、何らかのイベントに間に合うのかの確認などをして、「あとは描くだけ」のところにもっていきます。

データ作成(本の内容の決定)

漫画を作るためのデータをクリスタに用意します。見開きは2ページ統合し、漫画制作に使用しているレイヤーを一旦一つのページに全て用意し、それらをネームでわかったページ数分複製します。

レイヤー数は多いですが素材として登録してるのでセットはすぐできます

漫画はその特性上、複数ページに渡って同じ素材やトーンを使ったり、似たようなレイヤー設定のものが何度も必要になったりするので、最初に用意しておいて複製するという形が一番楽だという実感があります。

上の画像で貼られている基礎的なトーンとは別に、作品を通して恒常的に使うトーン(ミラージュの髪につかっているグラデーションのトーンや、首のスカーフの柄のためのトーンなど)があればそれを先に追加して、その状態で複製をかけます。

その上で、同人誌がトータル何ページにするかを決めてしまいます。同人誌には本文以外に「奥付」が必ず必要で、その上で好みによって中扉をつけたり目次をつけたり注意書きを添えたり後書きを添えたりします。冊子印刷はほとんどの印刷所が4ページごとに値段を設定していて、44pだろうが42pだろうが値段は同じ、ということがしばしば発生するので、そういうことも加味して総ページ数を決めます。
私は本を読む時(ページをめくる時)のテンポ感みたいなのを大事にしたいので、ここはこだわって決めています。

スケジューリング

同人手帳というサイトにスケジュールを管理してもらいます。

qovo.jp

作業開始日や締め切り、制作にかかる時間、作業できる時間数などからざっくりとしたスケジュールを立ててくれます。私は同人手帳君の言う「何日までに下書きを終わらせなさい」みたいなやつは見ておらず、進捗を入力して全体として間に合っているかのみを確認しています。(同時期に複数の締切を抱えている時は一緒に入れておいて参考にします)

仕組み自体は簡単なのですがちょっと使い方のコツをお教えします。

  • 各工程の予想時間について
    急に言われても結構困る部分だと思いますが、休憩時間込みと思って大雑把に・多めに申告しています。自分の場合下書きとペン入れ・ベタがそれぞれ2時間、トーン・仕上げは1時間で入力しています。写植は入れてないですけど次から入れた方がいいかもしれない。
    表紙(カラー)は48時間で申告しています。カラー絵は気分が乗ると3日ぐらいで仕上げられているので。
    その時間かかってたら間に合わないよ!といってくる場合もありますが、その時は同人手帳君側で調整してくれる機能があるのでそれに従うと楽です。
  • 1日に作業できる時間について
    私はこの生活になってから通勤が一切なくて毎日定量の作業をするのが非常に楽な環境にいるのですが、そうでないという人や、休みの日に一気に進めるという人は週末などに一週間分の作業を一気に打ち込んでおくのがいいと思います。
    経験上、休憩などを抜いた純粋な作業時間が、1日あたり5時間以上になるとキツくなってくるので気をつけてください。
  • 「締切より○日早く完了します」と言われた時
    どうやら余裕のあるスケジュールが組めているらしい、と思ったら、締切を変えて早割などを目指すのもありですが、とりあえず同人手帳上での「作業を開始する日」を遅らせて「締切より○日早く完了します」の表記がなくなるまで調整するのがおすすめです。もちろん、実際の作業開始日を遅らせる必要はありません。
    というのも、同人手帳くんは今後「予定より遅れている」とか「予定より早い」といってくれるんですが、この「予定」というのは最初に組んだ「締切より○日早く完了」する「予定」のことです。つまり、組んだスケジュールを守ると締め切りより二週間も早く終わるんだしゆっくりやろう、と思っていても、同人手帳君は「最初に建てた予定より遅れてる!締め切りには間に合うけどさ!」と怒ってきます。これが結構ダルいので、調整します。

ネームを元にコマ割りをする

ネームを見ながら「コマ割りカット」ツールを使ってコマ割りをしていきます。

コマ割りは難しいと思うかもしれません。二つルールがあるとされています。守ると急に商業漫画っぽくなるので守っています。

1つ目はコマとコマ同士の余白の幅を変えて「縦の余白の方が細い」という状態にすること。2つ目は見開きになるページで左右のコマの高さを揃えないことです。読みにくくなるとされています。

データ上ではピンとこないことが多いですが、印刷すると見開きの中央部分(ノド側)は本が綴じられている関係上かなり隠れてしまって目をどう動かしたらいいかわからず読みにくくなるようです。

ネームの上では守れていなくてもデータとしてちゃんと起こす時に点検して直します。また手癖で似たようなコマ割りをすることもあるので、必要であればそれも修正します。ネームにはあまり手を入れません。

四角のコマではうまく描きたい部分全てを入れることができないという場合もあるので、その時は斜めにしたりします。クリスタ君の機能でこのあたりはかなり簡単に調整できるので、下書きを描いた後に調整することもあります。

描きたいところを描いたり、フキ出しを枠内に納める時に、枠から変えるのは結構便利だったりします。

コマとコマの余白はやや大きいぐらいが読みやすいですね。私のは狭いな。今反省しました。次から活かします。

表紙のことを考える

同人誌の顔でもある表紙を考えるのは、同人誌を作る上でもかなり好きな工程で、誉のある作業です。タイトル先の場合はタイトルと一緒に表紙のビジュアルもぼんやり浮かぶことが多いです。また、私はいわゆる特殊紙や特殊装丁が好きなので、この時に一緒に考えることが多いです。直近の同人誌二冊(返事はいらないと愛しの君と〜)はどちらも装丁ありきのものです。

私はカラーイラストを描くのがかなり好きなのであまり悩んだことはないのですが……もし考えるのがつらいという人は好きなアーティストのMVやジャケットデザインなんかからヒントをもらうといいかもしれません。「hotfix」の表紙は結構評判が良かったのですが、これは似たような経緯で決めました。

「Make Me Your Own」は2周年のトレーラーで自カプが赤が似合うとかいうてイチャついてたので赤にしました。その上で、結構目元をほめてもらえることが多くて「イラレだと無限に拡大できますよ〜w」って画面見せたらすごい喜んでいただけたのがうれしかったため、クリプトと目の中に映り込んでるミラージュどちらも描いて表紙にするというアイディアに至りました。創作者としてだいぶ贅沢っぽい。

冷静に考えれば位置関係とかは謎なのですがとにかくよく見るとミラージュが目の中にいます

アイディアをまとめて下書きができたらあとは好きなタイミングで仕上げます(下書きが終わったあたりで仕上げることが多いかも)

ちょっと練習する

同じ作品の中で絵のタッチが変わったり、使ってるトーンが変わったりするのが嫌なので、原稿とは別に練習のモノクロ絵を描くことが多いです。特に今まで描いたことのないスキンを描いたりする場合はどこはどの濃度のトーンで塗るか、どの素材が必要なのかを知っておきたいし、最初にペン入れするコマの心理的ハードルがぐっと下がるのでやります。

練習で描いた絵

作画・写植する(セリフを考える)

以前にもちらっと書いたのですが、自分の中では下書きとセリフを考える行為がコストが高く、トーン貼りはかなりコストが低くてAPEXをしながらでもできます。ペン入れはその中間ぐらい。セリフは思いつく時は全て思いつきますが、そうでないときはてんでだめです。
すべてのページの下書きが終わってから次に進む、という方針でやると「下書きが描けない日の私」が悲鳴を上げてしまうので、やれる時にやれるものができるようにバラバラに仕上げていきます。描きたいコマから描いていくことも多いです。
とは言え、下書きは描ける日に一気に済ますし、ペン入れも同様なので下書き7:ペン入れ2:トーン1ぐらいの比率で進んでいきます。こうしておけば後半のスケジュールがやばくなってきた頃トーンばかりになるので少し自分も楽です。

こうするためにネームはかなりきっちり切ります。タスクを書き出しておくこともここに活きてきます。
絵のうまさやタッチがページによってバラバラにならないか?と訊かれますが、なります。本人にしかわからない程度だと思いますけど。
私が敬愛する武井宏之先生はシャーマンキングの完全版を出す時気に入らないコマだけ丸々書き直しておられました。連載初期と後期でかなり絵柄が変わったんですが、それを一切加味せず、普通にその時の画風で。結構すごいのであれを見たら趣味の同人誌なんて出来上がってりゃ100点だなって思います。
まあただあまり顕著にならないよう、作品内で矛盾が生じないよう事前に決めた練習内容をしぶしぶ守って描いていることが多いです。ただ後になってから全ページ直したこともあります。一番新しい作品のナイトクローラーのマスクの描き方などはそうです。

マスクの黒い部分をどうするかが変わってます
(ちなみに理由はいい感じの素材を作画途中で見つけられたため)

体調や諸々の影響で、作業する日になってるのに絵が描けない時もあります。そのときは他の同人誌に関わる作業をやることにしています(見積りをとったり、素材や資料を探したり)。

原稿をはじめたら大体週に20〜28時間ぐらい、多い時だと35時間ぐらいやっていると思います。週末に一気にというよりかはコツコツやるようにはしています。ゲームしながらも結構多いので正確なことはわからないですが、ちゃんと毎日8時間寝てます。

下書き

下書きします。クオリティはバラバラで、基本的に細かいところは下書きでは描きません。同じような比率や余白でキャラを入れると漫画が単調に思えるらしいです。下書きを描いた後にその部分を選択して移動させたり拡大縮小させることで調整しています。

難しい構図を描く時は3D人形を配置したりすることもあります。2度3度下書きを重ねることもあります。

下書きを重ねる時は常に全部描き直すのではなく、描けなかった部分だけ描き直すのが時短になっていいんじゃないかな、と思います。

写植

本当は下書きが終わった後にセリフを入れた方がいいです。難しい話なので省略しますが、漫画も所詮「読み物」なので文字が読みにくいと多大なストレスが生じてしまいます。セリフだけでもスムーズに、順番通りに読めるように配置したい。でも絵の都合上隠したくないところもあるし、入ると思っていたテキスト量がはいらなかったりする。そもそも吹き出しの下は基本的に隠れるからちゃんとしなくていいし……。そうなると下書きの段階で双方調整しながら配置した方がいい。

という自戒を込めて下書きの後はセリフを入れよう!と書いておきます。セリフを考えるのが苦手……というか、細かい言葉尻とかも調整したいと思うので時間がかかり、つまり、後回しにしがちです。ほとんどできあがってる絵に対して「合う」セリフを後であてがうというかなりアホなことをやることもあります。

(本当はこうなるほうがいい……と思う、セリフにあった表情というのもありますしね)

ペン入れ・ベタ入れ

ペン入れをします。ペンはクリスタで素材として販売されてる二つのペン設定を融合させたキメラペンを使ってるので、皆さんに紹介したり、あるいは自分で配布したりできません。すみません。

追加で書き足す用の抜きが長いペンと、抜きと筆圧感知がおとなしめのメインでペン入れする用のペンの二種類を使っています。

自分に合うペン設定を探すのってムズいよね…

ペン入れはベクターレイヤーで行っています。特にベクターレイヤーにある「交点消去」という機能が便利で、これのおかげで簡単な下書きからでも絵が起こせています。

tips.clip-studio.com

これは持論なのですが、ベタ範囲は多い方が画面が締まってかっこいいと思います。どうしてもトーンが少ないことを気にしがちですが、ワンピースもナルトもほぼトーン貼ってないですし、ベタである程度絵が完成してる方がいいのかな〜なんて思います。ただめちゃくちゃ難しくなりますけども。

自分はいわゆるツヤベタが大変苦手だし、タッチも汚いので素材に頼るところが多いです。

素材やブラシを使ってるところも多いです

トーン・仕上げ

トーンを貼ったり装飾ブラシを散りばめたりして仕上げます。描き文字も苦手なのでほぼ素材に頼っています。
白ふちの文字とかもトーンを貼る時に悪さをしがちなので先に書いてあっても非表示にしたり、終わった後に乗せることが多いです。

基本のトーンは15%、40%、60%の三種類を使っています。基本的にこの3色に色をあてがいます。肌色の部分は一個上の濃度の色で影を入れたりしますが、基本的にすでにトーンを塗っているところの上に影を乗せたい時はベタやタッチの素材を使っています。そっちの方が印刷が綺麗な気がする。

基本トーン以外のトーン(レイヤープロパティからトーンの濃度を指定しているわけではないトーン)は一つのフォルダに入れて一括でトーン化をかけています。
ミラージュの髪なんかはグラデーショントーンです。

またコミスタからクリスタに変わる時に色々仕様が変わって、トーンの状態でそのままトーン作業をすると色々とだるいので、一度トーン表示を切ってグレスケの状態で作業し、完成した時にトーン表示に切り替えています。いずれミスりそうでこわい。

これはグレースケールの状態

完成

本文以外のページ作成

奥付や注意書きのページ、後書きなど、本文以外のページを作ります。これは主にイラレで作っています。

いかにも一般流通している本みたいなクールで簡素な奥付が好きですが、デザイン的でかっこいいやつもわるくないなという気が最近はしています。

これは作っていただいたロゴがかっこよかったのでドンとつかわせてもらいました

入稿する

こういう作業を続けているとなんがいずれ全てのページが仕上がった気分になります。完成っぽいですね。完成です。

点検した後は慎重に出力して、印刷所に発注をかけ、入稿します。

Twitterに報告してフォロワーから褒めてもらいます

以上です。お疲れ様でした。